概要
前回の記事では、過去のAIブームと比較し、現在のAIブームがバブルかどうかについて解説しました。その結果、過去には「不可能」とされていたことがテクノロジーの進化により「可能」となり、実現可能性の面で大きな進展が見られました。ただし、利益の面ではまだ不十分な点もありますが、ビッグテック企業が主導する形で今後も投資と開発が続けられるため、AIが普及し、皆様の日常生活で利用できる日が来る可能性は高いと思います。今回は、企業側が何をすべきかについて解説したいと思います。
- AIバブル論の始まり
- 過去のAI冬の時代
- 過去の冬の時代との共通点と相違点
- では、何をすべきか
4. では、何をすべきか
AIの到来はほぼ確実。次のキークエスチョンは“いつ”
AIの到来は確実ですが、その時期についてはまだ不確定です。技術の進化は日々進んでおり、AIが私たちの日常生活に浸透する日はそう遠くないかもしれません。しかし、具体的なタイムラインを予測することは難しいため、私たちは段階的に準備を進める必要があります。
まずは、AIの基本的な理解を深めることから始めましょう。次に、AIがもたらす可能性のある変化や影響について考え、それに対応するための戦略を立てることが重要です。最後に、実際にAIを導入する際には、柔軟に対応できる体制を整えることが求められます。このように、ステップバイステップで準備を進めることで、AIの到来に備えることができるでしょう。
自社独自のAIエンジンの開発が答えではない
独自のAIエンジンを開発することは、いくつかの理由から推奨されません。勿論、特別な用途に特化した自社AIエンジンは今後必要になるかもしれませんが、ここでは、あくまでLLMや生成AIなど汎用的なAIの開発のことです。
まず、開発には莫大なコストがかかります。これについては他の記事でも詳しく取り上げましたが、AIの研究開発には多額の資金が必要です。特に、中小企業にとっては大きな負担となるでしょう。
次に、AIのトレーニングに必要なハードウェアが容易に手に入らないという問題があります。高性能なGPUや専用のサーバーが必要となるため、これらの設備を整えることは簡単ではありません。ハードウェアの不足は、開発のスピードや効率にも影響を与える可能性があります。
さらに重要なのは、多くの企業にとってAIの開発はコアビジネスではないという点です。AIはあくまでツールや手段であり、目的そのものではありません。企業は自社の強みを活かし、AIを効果的に活用することに焦点を当てるべきです。独自のAIエンジンを開発するよりも、既存のAI技術を導入し、自社のビジネスに適応させる方が賢明です。
だから、一番重要なのは「組織の存在意義」
独自のAIエンジンを開発しないとしたら、次に何をすべきでしょうか?AIの枠を超えて、他の技術や戦略に目を向ける必要があります。AIは確かに強力なツールですが、それだけに頼るのではなく、他の革新的な技術やビジネスモデルを探求することが重要です。
もしAIというキーワードだけに固執すると、ビジネスの視点ではなく、ツールとしての導入に偏りがちです。その結果、AIを導入すること自体が目的となってしまうことが多いです。実際、弊社メンバーの経験から言えば、数年前にビッグデータやデータレイクが流行した際、多くの企業がデータレイクツールの導入を目的とし、実際にはあまり活用されていないケースが多々ありました。
AIの利用は、現在のPCやサーバーの使用と同じように、日常的なものになるでしょう。もう一度強調しますが、PCを例に考えると、PCを導入すること自体を目的にするのはおかしいと感じる方が多いでしょう。PCはあくまで業務を効率化し、生産性を向上させるためのツールです。同様に、AIも目的ではなく手段として捉えるべきです。AIを効果的に活用することで、ビジネスの成長や革新を実現することが重要です。
今後、AIの利用方法は多岐にわたります。例えば、業務の自動化、顧客サービスの向上など、さまざまな分野でAIが活用されることが期待されます。AIを効果的に活用することで、業務の効率化や新しいビジネスチャンスの創出が可能となります。
このような時期だからこそ、「そもそもうちはどんな会社だったけ」という「会社の存在意義」に立ち返ることが重要です。自社の強みや独自性を再確認し、それを基にした戦略を立てることで、AIを含む新しい技術を効果的に活用することができます。自社のビジョンやミッションを再評価し、それに基づいた取り組みを進めることで、持続可能な成長を実現することができるでしょう。
このように、AIエンジンの開発に固執するのではなく、広い視野を持ち、他の技術や戦略を取り入れることで、より強固なビジネス基盤を築くことができます。これが、未来に向けた最善のアプローチとなるでしょう。
結論
結論として、AIの導入は避けられない未来であり、その到来に備えることが重要です。しかし、独自のAIエンジンを開発することには多くの課題が伴います。コストやハードウェアの問題、そしてビジネスの焦点を見失わないためにも、既存のAI技術を効果的に活用することが賢明です。AIはあくまでツールであり、目的ではありません。企業は自社の強みを活かし、AIを手段として活用することで、ビジネスの成長や革新を実現することが求められます。最終的には、AIを含む新しい技術を取り入れつつ、自社のビジョンやミッションに基づいた戦略を立てることが、持続可能な成長への鍵となるでしょう。
最後に
Singularity Partnersは、AIが流行語になる以前から長年にわたりコンサルティング業務を行ってきたメンバーが在籍する経験豊富な企業です。独自のAI導入およびスケールアウトフレームワークを持ち、他社にはない独自のアプローチでお客様をサポートいたします。ご質問や詳細については、ぜひメールでお問い合わせください。