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日本の株式市場における大暴落とAIバブル論 

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日本の株式市場は、8月2日(金曜日)に日経平均株価が過去数十年で最大の下落率を記録し、5.81%(2,216.63ポイント)下落して35,909.70で取引を終えました。その後、8月5日(月曜日)にも大幅な下落が続きました。この大暴落の背景にはいくつかの要因がありますが、その一つがAIバブル論です。 

特に、NVIDIAの株価が最近数倍に上昇し、AI関連株が急騰したことで、AIバブルの懸念が一層深刻化しています。NVIDIAの株価は過去1年間で258%も上昇しました。 さらに、最近のGoogleの決算発表で、株主からの質問に対して「AIへの過剰投資は過小投資よりもリスクが少ない」という発言があり、過剰投資論争に火をつけました。これに加えて、他の経済的要因とともに、米国のビッグテック企業の株価が急落し始めました。例えば、NVIDIA、Microsoft、Appleなどの主要企業の株価が大幅に下落しました。 

日本でも、多くの企業が生成型AIの導入に関心を持っていますが、一定の成果を上げている企業もあれば、まだ成果が出ずに投資を続けている企業もあります。 それでは、AIバブル論について詳しく見ていき、日本の企業がどのように対処すべきかを考えてみましょう。この記事は4部構成で以下の内容をお届けします。 

  1. AIバブル論の始まり 
  2. 過去のAI冬の時代 
  3. 過去の冬の時代との共通点と相違点 

では、何をすべきか 

AIバブル論の始まり

AIインフラ構築のコストは?

セコイアキャピタルのデビッド・チャン(David Chen)氏は、2003年9月に「AIの2,000億ドルの質問(AI’s $200B Question)」という記事を発表しました。彼の主張は、「AIインフラ(データセンター、GPUなど)への投資が非常に大きいため、実際に得られる収益はそれに見合わない」というものでした。年間の資本支出を賄うためには、毎年1,250億ドルの追加収益が必要だと説明しました。

今年6月20日、チャン氏は再びこの問題を取り上げ、「AIの6,000億ドルの質問」として新たな記事で主張しました。彼の計算によると、まずNVIDIAの年間収益予測値を取得し、それを2倍にします。その根拠は、まず、AIインフラであるデータセンターを建設するためにはNVIDIAのチップが必要ですからです。彼によりますと、データセンターのコストの約半分はNVIDIAのチップであり、残りの半分は建物費用、エネルギーなどです。ここまでがAIインフラのコストですが、企業は収益を得るために存在するため、コストに収益をさらに加える必要がありますので、コストに再び2倍にします。

AIサービスからの収益は?

まず、スタートアップの売り上げを見ると、ほどんどのスタートアップの売り上げは1億ドルを達成できず、OpenAIのシェアーが圧倒的であり、その収益は2023年末の16億ドルから今年は34億ドルに増加しました。

では、いわゆるビッグテックを見るとGoogle、Microsoft、Apple、Metaはそれぞれ年間100億ドルのAI関連収益を上げると予測されています。Oracle、ByteDance、Alibaba、Tencent、X(旧Twitter)、Teslaはそれぞれ50億ドルの収益を上げると見込まれています。これらを合計すると約700億ドルです。2024年第4四半期には、NVIDIAのデータセンター部門の年間売上高は約1,500億ドルになると予測されています。

結論は?

1500億ドル(NVIDIAデータセンター売上)× 2倍(データセンター構築追加費用)× 2倍(マージン)= 6,000億ドル(AI企業が達成すべき実績)OpenAIを含むビッグテック企業の収益をすべて合計しても1,000億ドルに満たないため、依然として5000億ドルのギャップ(達成すべき実績)があるというのがチェン氏の論理です。

反論

もちろん、他の意見もあります。売上ではなく、コスト削減手段として見るべきだというものです。a16zのアンジェラ・ストレンジ氏は「今、私たちは歴史上最大のプラットフォーム変化を経験しています。パーソナルコンピュータがコンピューティングコストを削減し、インターネットが物理的な配布コストを下げたように、生成AIは生産性コストを急速に削減しています」と述べています。

AIはコスト削減手段

彼女は非常に反復的な作業、データ収集、簡単なカスタマーサービス作業、文書作成などはAIに置き換えられると信じています。AIソフトウェアがチームの効率を向上させると言いました。職場という空間は多くの意思決定が行われる場所ですが、実際にはすでにAIは簡単な意思決定を自動化しています。市場調査を自動化し、一週間の最もホットな業界の問題を調査するなどです。

生成AIをワークフローに統合すると、従業員は単純反復作業を行わなくて済むようになります。その代わりに、より高度な作業により多くの時間を割くことができるようになります。これには非常に多くの利点があります。会議のノート作成、後続会議のスケジュールに関するメール生成、コード作成、市場調査などが代表的です。ストレンジ氏は、エージェントが非常に多くの業務を代行することを信じています。過去にもこのように人工知能ブームは何度も繰り返されてきました。それでは、過去と比較して何が同じで何が異なるのかを比較し、今後どのように変化していくのか、企業は何をすべきかを今後の連載で探っていきたいと思います。

Reference

「日本の株式市場における大暴落とAIバブル論 」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: 日本の株式市場における大暴落とAIバブル論 3 – Singularity Partners

  2. ピンバック: 日本の株式市場における大暴落とAIバブル論 4 – Singularity Partners

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